葬儀の手配に死亡届の提出、各種行政手続きや遺品整理など、1人暮らしの親が亡くなった後は、短期間で多くの手続きを行う必要があります。手続きの中には期限が設けられているものも多いため、どのような手続きが必要か事前に確認しておくと安心です。また、生前整理のように生前から死後に備える方法もあります。
本記事では、1人暮らしの親が亡くなったときに必要な手続きと、親族の負担軽減のためにできる対策を紹介します。
1人暮らしの親が亡くなったらやるべきこと

1人暮らしの親が亡くなると、死亡当日からさまざまな手続きを進める必要があります。中には期日が定められている手続きもあるため、一つひとつ確実に進めましょう。
| 手続き時期 | 必要な手続き |
|---|---|
| 死亡~約1週間以内 |
|
| 死亡~約10日以内 |
|
| 死亡~期限まで |
|
以下で手続き時期の目安と併せて詳しく解説します。
【死亡~約1週間以内】葬儀関係の手続き
葬儀関係の手続きは親が亡くなってから3日以内に行うのが一般的です。期限が定められているわけではないものの、ご遺体の腐敗を防ぐためにも早い方がよいでしょう。以下に必要な手続きの内容と、手続きの時期をまとめます。
| 手続き時期 | 必要な手続き |
|---|---|
| 死後1日目 |
|
| 死後2日目 |
|
| 死後3日目 |
|
次で一つひとつ解説します。
【死後1日目】死亡診断書の受け取り
入院先で親が亡くなると、主治医が死亡診断書を発行します。死亡診断書は人の死を医学的・法的に証明する書類で、火葬や公的手続きの際に必要です。
また親が事故で亡くなったり自宅で亡くなったりした場合は、警察に連絡することで警察医から死亡診断書と同様の書類「死体検案書」が発行されます。
どちらも大切な書類なので、なくさないように保管しましょう。
【死後1日目】近親者・関係者への連絡
ご家族や親族、親の友人、関係者に訃報の連絡を入れます。訃報の連絡は葬儀で喪主を務める人が行うのが一般的ですが、難しいときはの家族や親族に依頼しても構いません。親の希望を聞き、生前から「連絡先リスト」を作成しておくとスムーズです。
【死後1日目】葬儀会社の手配
葬儀プランや価格、担当者との相性などから葬儀社を決定しましょう。本来であれば親の希望を尊重したり、複数社から見積もりを取ったりした方が納得のいく葬儀になりやすいものの、そのような時間が取れないこともあります。慌てないためにも、生前から葬儀について話し合っておくのがおすすめです。
【死後1日目】遺体の退院・搬送
親が病院で亡くなったときは、ご遺体の退院と安置場所への搬送を行います。病院ではご遺体の安置を2時間〜3時間程度しかできません。そのため、自宅や葬儀社などに搬送し、葬儀の間まで安置する必要があります。
なお、日本では感染症による死亡などの特別な場合を除き、死後24時間経過しなければご遺体を火葬できません(※)。火葬できるようになるまでは、ご遺体を安置する必要があります。
※参考:厚生労働省.「墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年5月31日法律第48号)」,(参照2025-06-26).
【死後2日目】死亡届・埋火葬許可証の手続き
死亡届は死亡診断書(死体検案書)と同じ書類の左側にあります。提出期限は死亡日から7日以内で、届出場所は亡くなった親の本籍地または死亡地、届出人の所在地の市区町村役所・役場です(※)。
死亡届を提出すると役所から「埋火葬許可証」が発行されます。この書類がなければ、火葬や納骨ができないため注意が必要です。土日や年末年始に手続きが必要になる場合は、どのように書類を受け取ればよいのか役所に確認しましょう。
※参考:大阪市.「死亡届」,(参照2025-06-26).
- 国民健康保険課
-
- 資格喪失届の提出
- 健康保険証の返還
- 葬祭費支給申請用紙の取得
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- 介護保険課
-
- 資格喪失届の提出
- 介護保険証の返還
- 高額医療費の還付申請(該当する場合)
-
- 生活福祉課(または保健福祉局)
-
- 身体障害者手帳の返還
-
どのような手続きが必要か分からないときは、総合案内などで確認するとよいでしょう。また、手続きの中には書類の用意が必要なものもあるため、事前に役所に確認するのがおすすめです。
年金の手続き
会社員だった親が亡くなった場合、年金の資格喪失手続きは会社が行います。一方、自営業者などで国民年金に加入していた親が亡くなったときは、遺族が年金事務所で国民年金の資格喪失手続きを行わなければいけません。
また親がすでに年金を受け取っていたときは、遺族が年金事務所に「受給権者死亡届」を提出します。
なお、亡くなった親の年金の状況や残された親族の有無によっては、遺族年金などを受け取れる可能性があります。いずれの場合であっても必要な手続きがないか、一度年金事務所に問い合わせて確認しましょう。
代表的な手続きは以下の通りです。
| 状況 | 手続き |
|---|---|
| 年金受給者が亡くなったとき | 受給権者死亡届の提出 |
| 未支給の年金があり受け取れる遺族がいるとき | 未支給年金請求書の届出 |
| 遺族給付に該当する親族がいるとき | 次の該当する手続きの請求
|
なお、死亡届の提出に期限の定めはないものの届出が遅れると、年金の過払いが発生する恐れがあります。また、ご遺族が受け取れる給付の請求期限は種類により異なりますが、2~5年です(※)。
※参考:日本年金機構.「年金の時効」 ,(参照2025-06-26).
運転免許証の返還手続き
亡くなった親の運転免許証を返還したいときは、最寄りの警察署や運転免許試験場、免許更新センターで手続きできます。なお返還は義務ではないため、運転免許証を遺品として残しておいても問題ありません。ただし、有効期限が満了するまでの間は、更新のお知らせハガキなどが届くため注意しましょう。
【死亡~期限まで】相続関係の手続き
相続を放棄する場合は、相続を知った日から3カ月以内に手続きが必要です。処理が遅れると、マイナスの財産を引き継ぐ恐れもあるため注意しましょう。
手続きは以下の手順で行います。
- 遺言書の検認手続きを行う
- 遺産調査をする
- 遺産を相続するか検討する
- 相続人全員で遺産分割協議をする
- 相続税の申告をする
- 遺産の名義を変更する
1. 遺言書を確認する
亡くなった親が遺言書を作成していたときは、基本的にその内容に従います。
遺言書は公証役場などに預ける以外に、自宅の倉庫などに保管しているケースもあります。もし遺言書が出てきたときは開封せず、家庭裁判所に持ち込み「検認」をしなければいけません。開封すると改ざんを疑われてしまうケースがあるので注意しましょう。
2. 遺産調査をする
遺産調査とは、相続財産の有無と、財産の価値を調べる作業です。遺産は現金や土地のようなプラスの財産だけでなく、借入金などのマイナスな財産も含まれます。このため価値を正確に評価しなければ、マイナスの財産を引き継ぐ恐れもあります。相続財産が多く価値評価が難しいときは、専門家に調査を依頼しましょう。
3. 遺産を相続するか検討する
マイナスの財産が大きいときは「相続放棄」により、法的に一切の財産の引き継ぎを拒否できます。またプラス・マイナス、双方の財産があるものの、相殺によりプラスの財産が大きくなる、またはゼロになるときは「限定承認」により引き継ぐことができます。
いずれの方法も、相続開始を知った日から3カ月以内に家庭裁判所で手続きが必要なため、早めに検討しましょう(※)。
※参考:裁判所.「相続の放棄の申述」,(参照2025-06-26).
4. 相続人全員で遺産分割協議をする
相続人が複数人いるときや、遺言書がない、または遺言書通りに分割しない場合は、相続人全員で遺産分割協議をします。遺産分割協議では、遺産をどのように分けるか話し合い、その結果を遺産分割協議書にまとめて実印を押します。このとき、相続人全員の合意が必要です。
もし話し合いでまとまらなければ家庭裁判所で調停手続きをするなど、法的な方法に進むこともあります。
5. 相続税の申告をする
遺産の総額が相続税の基礎控除額を超えるときは、税務署で相続税の申告と納付が必要です。申告期限は相続開始を知った日の翌日から10カ月以内です(※)。
※参考:国税庁.「B1-2 相続税の申告手続」,(参照2025-06-26).
6. 遺産の名義を変更する
相続した遺産は親の名義になっているため、それぞれ相続人の名義に変更しましょう。名義変更に必要な書類は相続物によっても異なるため、各手続き先に確認し用意します。
【死亡~期限まで】税金関係の手続き
亡くなった親が確定申告をしていた、または必要だった場合、相続人が代わりに「準確定申告」を行う必要があります。
準確定申告が必要なケースは、亡くなった親に以下の収入があったときが考えられます。
- 事業所得や不動産所得があった
- 複数個所から給与を受け取っていた
- 雑所得以外の所得が20万円以上あった
- 土地や建物を売却していた
期限は相続の開始を知った日の翌日から4カ月以内で、相続人が複数名いるときは連名での手続きが必要です。必要書類をそろえて書類を作成し、税務署に提出しましょう(※)。
※参考:国税庁.「B1-2 相続税の申告手続」,(参照2025-06-26).
【死亡~期限まで】その他必要に応じて行う手続き
亡くなった親が個人で契約していたサービスがあれば、それぞれ解約手続きが必要です。代表的なサービスは以下の通りです。
- 【解約手続きが必要なサービス】
- 公共料金
- 賃貸契約
- 携帯電話
- インターネットサービス
- クレジットカード
- 利用会員
- サブスクリプション など
公共料金や賃貸の未払い料金などがあるときは、清算作業もご遺族側で進める必要があります。なお滞納している請求があっても、相続放棄をしている場合は支払う必要はありません。
【死亡~期限まで】遺品整理
葬儀などが一通り済んだら、亡くなった親が住んでいた住宅の遺品整理を進めます。特に賃貸物件の場合、原状回復義務があるため遺品を残したままでは退去できません。また亡くなった理由によっては、特殊清掃が必要になるケースもあります。
持ち家であっても形見分けの品の選定や、相続財産の把握などが必要となるため、できるだけ早めに整理を進めるとよいでしょう。
1人暮らしの親族が亡くなった場も同様に進める
1人暮らしの親族が亡くなったときも、基本的には親が亡くなったときと同様に手続きを進めます。手順は以下の通りです。
- 病院や警察から死亡の連絡を受ける
- 死亡診断書(死体検案書)・死亡届を役所に提出する
- 葬儀と火葬を行う
- 健康保険の脱退など必要な手続きを行う
- 遺品整理をする
遠い親戚が亡くなったときは、手続きの期限切れに十分注意しましょう。
1人暮らしの親が亡くなると、家族にはさまざまな負担が生じます。できるだけ生前に親と話し合っておくと、いざというときに落ち着いて対応できます。
また「子どもに迷惑をかけたくない」とお考えの方も、生前から少しずつ準備を進めておくと安心です
ここからは、生前にできる準備をご紹介します。
生前整理をする
生前整理とは、親本人が元気なうちに身の回りの物や財産の整理を進める作業です。不用品は処分し、形見にしたい物や財産価値のある物は、分かりやすくまとめることで、負担軽減やトラブルの防止に役立ちます。
遺言書を作成する
自分の財産を誰にどのように相続したいか希望があるときは、遺言書を作成しましょう。遺言書といってもいくつか種類があり、作成方法が適切でない場合は無効になる恐れがあります。
また、保管方法によっては死後に発見されないこともあるため注意が必要です。遺言書の作成方法は、専門家や自治体の窓口で相談できます。
葬儀の生前契約をする
葬儀の生前契約では、存命中に希望の葬儀を指定でき、葬儀代金の前払いも可能です。事前に葬儀会社やプランが決まっていれば、家族もゆっくりと故人の死に向き合えるでしょう。また前払いをしておけば、家族の金銭的負担も軽減できます。
死後事務委任契約をする
死後事務委任契約とは、ご遺体の引き取りや行政手続き、賃貸物件の解約など、死後に必要な事務手続きを第三者に任せるための契約です。弁護士などの専門家だけでなく、信頼する知人などにも依頼できます。
さまざまな手続きを委任できるものの、相続に関することや生前の事務手続きに関することは委任できません。
生前整理や遺品整理はプロへの依頼も検討しよう
葬儀の手続きや役所への届出、遺品整理、相続など、1人暮らしの親が亡くなった後は短期間に多くの手続きをこなさなければいけません。とはいえ、これらの手続きの中にはプロに依頼できるものや、生前からある程度準備できるものもあります。
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