
亡くなった人の物を処分すべきかどうか、迷っている方も少なくありません。思い出が詰まった品々を前にすると、気持ちの整理がつかず、手をつけられない方もいるでしょう。一方で、そのままにしておくと生活面や相続面で不都合が生じることもあります。
そこで本記事では、遺品を処分する必要がある理由や、遺品の整理・処分方法について解説します。遺品整理に悩む方にとって少しでも参考になれば幸いです。ぜひ参考になさってください。
亡くなった人の物は処分した方がいいのはなぜ?
遺品整理は単なる片付けではなく、実務面や心情面に大きな意味があります。ここからは、亡くなった人の物を処分した方がよいとされる具体的な理由について紹介します。
資産・相続・支払い状況を把握するため
遺品整理を行う最大の理由の一つは、故人の資産や契約状況を把握することです。遺品の中には現金や預金通帳、貴金属、不動産関連の書類など、相続に直結する重要な情報が含まれています。こうした財産を確認しなければ、相続手続きが滞る可能性があります。
また、光熱費や携帯電話、サブスクリプションサービス、クレジットカード、ローンなど、生前の契約がそのまま残っているケースもあるでしょう。これらを把握せずに放置すると、相続人が知らずに支払いを続けてしまい、不要な負担を抱える恐れがあります。
遺品整理を通じて資産や契約の全体像を明らかにしておくことは、後々の相続トラブルや経済的リスクを避ける上で欠かせません。中立的に状況を確認し、必要に応じて専門家へ相談すると安心です。
親族とのトラブルを避けるため
遺品整理を怠ると、親族間でのトラブルに発展することがあります。資産価値のある品物を見落としたり、誰かが勝手に持ち去ってしまったりした場合、不公平感や不信感が生じやすいからです。特に宝飾品や骨董品、収集品などは、価値が見えにくい一方で相続の対象になることも多く、注意が必要です。
不要な物と貴重品をしっかり仕分けておくことで、後々の誤解や争いを防げます。また、処分の方法についても「勝手に捨てた」といった不満が出やすいため、親族で話し合いながら進めることが大切です。
遺品整理は家族の絆を守る行為でもあります。感情的になりやすい場面だからこそ、整理のプロセスを丁寧に行うことがトラブルの予防につながります。
心の整理をつけるため
遺品整理は実務的な意味だけでなく、心の整理にも大きな役割を果たします。故人の衣類や写真、愛用品を手に取ることで、これまでの思い出を振り返り、喪失感と向き合う時間になります。その過程は悲しみを和らげ、前を向くためのきっかけとなるでしょう。
全てを処分する必要はありません。写真や手紙など大切な品を残したり、供養の形でおたき上げしたりといった選択もあります。こうした方法は、故人を大切に思う気持ちを形にしつつ、自分の気持ちを整理する助けになります。
人それぞれ受け止め方には差がありますが、遺品整理を通じて心に区切りをつけることで、少しずつ日常を取り戻せるはずです。無理をせず、自分のペースで向き合うことが大切です。
家の衛生管理のため
遺品を長期間そのままにしておくと、家の衛生環境が悪化する恐れがあります。家具や衣類にほこりが積もり、湿気の多い環境ではカビが発生しやすくなります。また、放置された衣類や布団はダニや害虫の温床となり、家族の健康に悪影響を及ぼしかねません。特にアレルギーやぜんそくを持つ家族にとっては、症状を悪化させるリスクがあります。
さらに、整理されていない物が多いと掃除の効率が下がり、日常的な衛生管理も難しくなります。結果として、けがや転倒のリスクが高まることもあります。遺品整理は快適な住環境を維持するための大切な一歩です。前向きに取り組むことで、暮らしやすさを取り戻すことにつながります。
犯罪・災害で遺品をなくさないため
故人が暮らしていた家が空き家のままになると、犯罪や災害のリスクが高まります。空き家は人の目が届きにくいため、不法侵入や空き巣、放火などの被害に遭いやすい状況になります。また、放置された建物は老朽化が進みやすく、地震や台風、火災などの災害時に遺品ごと失われてしまう可能性もあります。
遺品を早めに整理し、貴重品や大切な品を安全な場所へ移動しておくことは、こうしたリスクを避ける有効な手段です。自治体によっては空き家の管理義務を所有者に課すケースもあり、放置すると行政指導の対象になることもあります。遺品整理は「大切な思い出を守る手段」と考え、早めに対応することが望ましいでしょう。
亡くなった人の物を整理する手順
遺品整理は感情的にも体力的にも負担の大きい作業ですが、手順を踏んで進めることで効率的に行えます。仕分けや処分の流れをあらかじめ理解しておくと、迷いを減らし、家族で協力しながら取り組みやすくなります。ここからは整理の手順を順を追って解説します。
仕分けする
遺品整理の最初のステップは、物を「必要な物」「不用品」「保留する物」に分けることです。「必要な物」には、現金や通帳、不動産関連の書類といった資産価値のあるもの、生活に使う予定の品、そして思い出の品が含まれます。一方で、破損している物や明らかに不要な物は処分候補に分けましょう。
迷いやすいのが「保留する物」です。すぐに判断がつかない品は一時的に保管しておくと安心です。また、遺言書やエンディングノートがある場合は故人の希望をかなえるかたちにしましょう。
さらに、仕分けは家族全員で相談しながら進めると、感情的な負担が軽減され、納得感を持って進められます。冷静に段階を踏むことが成功のポイントです。
不用品を分別して処分する
仕分けが終わったら、不用品を正しく処分する必要があります。一般的な日用品や家具は、自治体のごみ収集ルールに従って処分します。特に家電については「家電リサイクル法」の対象品(エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機など)があり、指定業者や販売店を通じた回収が必要です。
まだ使用できる家具や家電、ブランド品などは、リサイクルショップや専門業者に査定を依頼すれば、買い取りにつながる可能性もあります。これにより処分費用の軽減にもつながります。ただし、不用品回収業者を利用する際は、極端に安価な見積もりを提示する業者や処理方法を公開しない業者は避けるべきです。
法制度や自治体ルールを正しく理解し、適切に分別して処分することが、トラブルを避けながらスムーズに遺品整理を進めるポイントです。
形見分けする
遺品の中には金銭的な価値はなくても、故人との思い出が深く残る品があります。こうした物は「形見」として親族や親しい友人に渡すことで、故人の存在を分かち合う大切な機会となります。ただし、相手が本当に受け取りたいかどうかを確認することが重要です。負担にならないよう、事前に相談してから渡すようにしましょう。
また、手紙を添えて渡すなど、心を込めた工夫をするとより温かみが伝わります。無理に押し付けるのではなく、希望を尊重しながら進めることが大切です。
なお、貴重品や高額品は相続財産に該当するため、「形見分け」とは区別する必要があります。形見分けは、思い入れを重視した特別な分かち合いの方法と考えると良いでしょう。
清掃する
遺品の仕分けや不用品処分が終わった後は、部屋の清掃を行うことが欠かせません。長期間使われていなかった空間にはほこりや汚れがたまりやすく、棚や床は水拭きをして衛生的な状態に整えることが大切です。また、カビや臭いが残っている場合には、消毒や十分な換気を行いましょう。
整理後に部屋をきれいに整えておくことで、その後の再利用や貸し出し、売却といった選択肢にもつながります。特
大掛かりな清掃が必要なときや自力での掃除が難しい場合には、専門の清掃業者に依頼する方法もあります。プロに任せることで安全かつ効率的に環境を整えられる点も安心です。
亡くなった人の物を処分する方法
遺品の処分にはいくつかの方法があり、品物の種類や状況によって適切な手段を選ぶことが重要です。ここからは代表的な処分方法を紹介します。
おたき上げする
ぬいぐるみや人形、仏壇や位牌といった遺品は、単に廃棄するのではなく「供養」をしてから処分することが望ましいとされています。寺院や神社に依頼すれば、おたき上げや読経といった儀式を経て大切に供養してもらえます。また、遺品整理業者の中には供養サービスを提供しているところもあり、まとめて依頼できるのが利点です。
供養を通じて「故人をきちんと見送った」という安心感を得られる点も大きなメリットです。宗教的な背景や家族の考え方によって方法は異なるため、あくまで一つの選択肢として検討すると良いでしょう。心の区切りをつける意味でも、供養は有効な手段となります。
売却する
遺品の中にはリサイクルや売却が可能な品も多くあります。家具や家電、ブランド品、骨董品、宝飾品、お酒などは、不用品買取業者やリサイクルショップで査定を受けられます。フリマアプリやネットオークションを利用することもできますが、出品時には「遺品」であることを記載するなど、購入者への配慮が求められます。
また、高額品や希少品は相続の対象となる場合があるため、売却前に家族で確認することが大切です。相続手続きが関わるケースでは、専門家に相談してトラブルを避けましょう。
ただし売却は経済的なメリットがある一方で、感情的に手放しにくい側面もあります。無理をせず、残すべき物と手放す物のバランスを考えながら進めると安心です。
リサイクルに出す
遺品の中には再利用できる品が多くあります。衣類や紙類、金属類などは資源としてリサイクルが可能であり、環境への負荷を減らす意味でも活用したい方法です。自治体ごとに資源回収日や分別ルールが設けられているため、まずは地域の情報を確認することが大切です。
また、スーパーや公共施設に設置されている資源回収ボックスを利用できるケースもあります。さらに、リサイクルショップに持ち込めば再販売につながり、処分費用の削減にも役立ちます。ただし、汚れがひどい衣類や危険物はリサイクル対象外となるため、区別を誤らないよう注意が必要です。正しい方法でリサイクルに出すことで、故人の遺品を次の形で生かすことができます。
寄付する
不要になった遺品の中には、必要としている人や団体に寄付できる物もあります。衣類や家具、日用品などは、学校や福祉施設、NPO団体などを通じて活用されるケースがあります。寄付をすることで、単なる処分ではなく社会貢献につながる点が大きなメリットです。
ただし、寄付できる品目や条件は団体ごとに異なるため、事前に確認することが欠かせません。清潔で使用可能な状態であることが前提であり、送料の負担や受け取り方法についても注意が必要です。
また、海外支援として送られるケースもあるため、行き先や利用方法を知っておくと安心です。遺品を寄付することは、故人の思いを新たな形で生かす選択肢となります。
遺品整理業者に処分してもらう
体力的・時間的に自分で遺品整理を進めるのが難しい場合は、遺品整理業者へ依頼する方法があります。業者に依頼すれば、仕分けから処分、買い取りや供養、清掃まで一括で対応してくれるため、負担を軽減できます。また、遺族の気持ちに寄り添ったサポートを行う業者も多く、安心して任せられるのが利点です。
依頼時には、遺品整理士の有資格者が在籍しているかを確認すると信頼性が高まります。さらに、複数の業者から見積もりを取って比較することも重要です。悪質な業者に依頼すると高額請求や不法投棄のリスクがあるため、認定や実績をしっかり確認して選びましょう。専門業者をうまく活用することで、効率的かつ安心して遺品整理を進められます。
亡くなった人の物を処分する際の注意点
遺品整理では「処分してはいけない物」を誤って廃棄しないよう注意が必要です。代表的なものとして、遺言書、現金、預金通帳、印鑑、身分証明書、不動産の権利書などが挙げられます。近年ではパソコンやスマートフォンに残るデジタル遺品も重要であり、契約や資産に関わる情報が含まれている場合があります。
仕分けの際には、こうした重要品をリスト化して確認しながら進めると安心です。特に遺言書が見つかった場合は、相続手続きに直結するため最初に内容を確認し、故人の意思を尊重することが求められます。誤って処分すると、相続や契約のトラブルに発展する恐れがあるため、冷静に注意深く取り扱うことが大切です。
まとめ
亡くなった人の物を処分するべきか迷う方は多いですが、資産や契約を把握する実務的な意味、親族間のトラブルを避けること、そして心の整理につながることから、遺品整理は大切な過程です。
アールエージェンシー株式会社は、専門知識を持つスタッフが、ご遺族の心情に寄り添いながら遺品整理をサポートします。仕分けから処分、供養や清掃まで一括対応が可能です。遺品整理でお困りの際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。