
親しい人を亡くして間もないうちに行うことの多い遺品整理は、精神的にも肉体的にも負担がかかり「つらい」と感じることが多い作業です。もし、あまりにもつらく遺品整理が進まないのであれば、無理をせず知人やプロを頼って乗り越えるのがおすすめです。
本記事では、遺品整理がつらい理由とその対処法や、遺品整理の具体的な進め方、プロに依頼するメリット・デメリットを紹介します。
「遺品整理がつらい」と感じる4つの理由
遺品整理は肉体的にも精神的にも負担が大きい作業です。このため、つらいと感じることは、とても自然なことです。そこに親族間のいざこざなど、さまざまな要因が絡み合っていることも少なくありません。
以下では、「遺品整理がつらい」と感じる4つの理由を説明していきます。
1. 心の整理が追いつかず悲しみがこみ上げるため
遺品整理中は故人の愛用品や普段使っていた物など、故人を思い出す多くの物に触れなければいけません。
故人との関係が深く、心の整理が追いついていない人ほど、遺品整理中に気持ちが動揺する瞬間が多いでしょう。遺品整理により喪失感が強まれば、つらいと感じるのはとても自然です。
2. 遺品の処分に心苦しさがあるため
故人の遺品を捨てることに心苦しさや罪悪感を覚え、つらくなることもあります。不用品であっても捨てることで、故人とのつながりが絶たれるような、恐怖心を覚える人もいるかもしれません。
普段から使えそうな物は取っておくなど、物を捨てるのが苦手な人は、処分自体がつらい作業になってしまいがちです。
3. 遺品の量が多く気力・体力ともに消耗するため
遺品整理では、一つひとつの物の要・不要を判断し、適切な方法で処分を進めなければいけません。物の処理方法を考え続けなくてはならない遺品整理は、気力を消耗しがちです。
また、遺品の箱詰めや不用品の処分など、体を動かす作業も多く、体力も激しく消耗します。結果として、精神的にも肉体的にもつらいと感じやすくなります。
4. 親族間でもめているため
遺品整理の仕方や相続など、親族間でもめ事があったり、元々仲が悪かったりすれば、人間関係が原因のつらさが生じます。故人との思い出の深さや遺品に対する価値観は親族によっても異なります。
このため、不用品として処分をした結果、他のご遺族から反発されることもあるでしょう。さらに相続の問題が絡んでくると、さらに親族間の亀裂が深まりやすく、つらくなってしまいます。
遺品整理のつらい気持ちを少しでも軽減する方法
遺品整理がつらいと感じたときは、無理をしないことが大切です。作業で生じる悲しみや怒りなどの感情を押し殺していると、想像以上のストレスがかかり、心身の不調につながる恐れもあります。
どうしても至急遺品整理が必要であれば、早めにプロの力を借りるのがおすすめです。
感情を受け入れ自分のケアをする
故人の関係によっては、遺品整理中に楽しかった思い出だけでなく、悲しみや怒りなど、負の感情が渦巻くこともあるでしょう。これらの感情を長期的に押し殺して作業をしていると、心身に大きなストレスがかかります。
「遺品整理中につらくなるのは自然なこと」と、まずは自分の感情を肯定しましょう。親しい人や、同じように遺品整理を経験した人に相談するだけでも、気持ちが落ち着くかもしれません。
急がずに時間をかけて整理を進める
故人の喪失感が強いなど、気力が湧かないときは可能な範囲で遺品整理の時期を先送りにしてもよいでしょう。
また、一気に進めようとすると、その分遺品と向き合う時間が長くなり、精神的・肉体的負担が大きくなります。時間を決めて作業をするなど、短時間の遺品整理にとどめることで、悲しみに沈む時間を短くできます。
大勢で集まって遺品整理をする
親族や故人と親しかった人など、大勢で集まれば、会話も作業も進み、悲しみも軽減しやすくなります。遺品整理を少人数で進めると、一人当たりの作業負担が大きく、プレッシャーから余計につらくなりやすいでしょう。
人数が多ければ楽しかった思い出話に花が咲き、一時でも悲しみを忘れられるかもしれません。また遺品の処分方法に困ったときも、すぐに周りに相談ができれば、不安の軽減にもつながるでしょう。
早めに専門家の力を借りる
親しい人を失ってから、遺品整理どころか日常生活もままならない状態が数カ月続いているときは、早めに心の専門家に相談しましょう。心の病の中には、死別がきっかけで発症するものもあります。喪失が原因の悲嘆を専門にケアする「グリーフケア」という方法もあるほどです。
また故人が賃貸物件に住んでいて解約を急いでいる場合は、遺品整理のプロに依頼するのも方法です。遺品整理業者の選び方や依頼するメリット・デメリットは後ほど詳しく解説します。
遺品整理を進めるために | 作業手順を確認しよう
遺品整理がつらいと感じる人の中には、作業手順が分からないために整理が進まず、焦りやいら立ちにつながっている人もいるかもしれません。遺品整理にはある程度決まった流れがあるため詳しく解説します。
- 遺品整理の日程を決める
- 不要な物と必要な物に分類する
- 不用品を適切な方法で処分する
- 遺品は保管または分配する
- 家や部屋の掃除をする
1. 遺品整理の日程を決める
遺品整理を始める前に、おおまかでもよいのでスケジュールを立てましょう。やみくもに始めると、終わりが見えず、作業が余計つらく感じます。
既に始めているときは、終了予定日と、いつ・何をするかをまとめましょう。相続税の申告など、期限のある手続きが控えているときは、それまでに遺品整理を終えられるようにスケジュールを組むのがおすすめです。
2. 不要な物と必要な物に分類する
遺品は一つずつ必要な物と不要な物に分類します。分類基準が曖昧だと作業が進まなくなるため注意が必要です。一般的な分類の目安は以下の通りです。
遺品・保管品として残す物 | 故人の愛用品、思い出の品、貴重品(現金・印鑑など)、身分証明書、各種権利書、契約書類、金銭的価値のある物など |
不用品として処分する物 | 家庭ごみ、壊れた家電、劣化した衣類、使わない家具など |
特に、思い出の品は捨てると二度と取り戻せないため、慎重に判断する必要があります。判断に迷う物があるときは、長く考えず保留品箱のような一時保管場所に入れ、後から判断しましょう。
3. 不用品を適切な方法で処分する
不用品は自治体の処分方法に従い、適切に処分しましょう。自治体で回収していない物は、それぞれ処分方法を調べる必要があります。
なお不要な貴重品や美術品を勝手に売却すると、相続上のトラブルにつながる恐れがあります。個人の判断のみで処理しないように注意しましょう。
4. 遺品は保管または分配する
重要書類などは担当者を決めて厳重に保管しましょう。また遺品はそれぞれのご遺族に分配し、名義変更が必要な物は変更の上、各自で保管または処分します。
5. 家や部屋の掃除をする
義務ではないものの、遺品整理が終わった後は故人の家や部屋を、無理のない範囲で掃除するのがおすすめです。清潔に整えられることで、達成感にもつながります。
遺品整理を進めるのに適した時期はある?
遺品整理に開始時期や期限は定められていないものの、一般的には区切りの良いタイミングで行うことが多いです。遺品整理を始めることさえつらいと感じているなら、以下の区切りの時期を一つのきっかけとしてみてください。
- 葬儀が終わった後
- 役所の手続きが落ち着いた後
- 四十九日法要の後
- 相続税の申告前
葬儀が終わった後
葬儀が終わった後や死亡直後の諸手続きが終わった後は、親族が集まりやすいため遺品整理を始めやすいタイミングです。特に、故人が賃貸物件に住んでいたときは、解約手続きをしなければ不要な家賃を払い続けることとなるため、早めに遺品整理に取り掛かりたいところです。
ただし、死後日が短いと他の行政関連手続きと並行して遺品整理を行う必要があるため、負担は大きくなります。
役所の手続きが落ち着いた後
社会保険や年金に関する手続きは死亡から10日、または14日以内を期限としているものがあります(※)。これらの手続きが一段落ついた後であれば、多少時間に余裕ができるため、遺品整理も始めやすいです。
早めに遺品整理に取り掛かれば、進みが悪かったとしてもプロに依頼するなどして計画を変更しやすくなります。
※参考:日本年金機構.「年金受給者が亡くなりました。何か手続きは必要ですか。」,(参照2025-06-29)
四十九日法要の後
四十九日法要では、多くの親族が集まり形見分けをすることが多いため、遺品整理にも適した時期です。死亡直後の手続きや行政関連手続きも落ち着き、余裕をもって遺品整理を進められるでしょう。
相続税の申告前
相続税の申告は、相続を知った日の翌日から10カ月以内に行わなければいけません(※)。期限までに申告しなと、税金の追加支払いなどのペナルティもあるため注意しましょう。
申告期限までに相続財産を把握し正しく評価する必要があるため、遅くとも期限の数カ月前までには遺品整理を終えていることが望ましいです。
※参考:国税庁.「B1-2 相続税の申告手続」,(参照2025-06-29)
遺品整理があまりにつらかったらプロに依頼しよう
遺品整理がつらくて進まない場合は、遺品整理のプロに依頼するのがおすすめです。しかし、しっかり確認せずに依頼をすると、悪徳業者に騙されトラブルに巻き込まれる可能性もあります。ここでは優良遺品整理業者の選び方を紹介します。
遺品整理士はいるか
遺品整理士とは、遺品整理で必要な法知識や遺品を扱うときの心構えを理解している、遺品整理のスペシャリストです。遺品整理士の在籍する業者であれば、一つひとつの遺品を供養の気持ちを込めて扱います。
遺品整理を依頼したいけれど、雑に扱われたくないと考えている人は「遺品整理士」が在籍しているか確認しましょう。
一般廃棄物収集運搬業許可を得ているか
遺品整理のときに出た不用品は一般廃棄物として処理する必要があり、そのためには「一般廃棄物収集運搬業許可」を得ている事業者でなければいけません。
もし自社で上記許可を得ていない場合は、許可を得ている事業者と連携して、遺品整理を行っているか確認しましょう。
料金体系は明確か
料金体系は明確か、見積もりを取ったときに何にいくらかかるのかが記載されているか確認しましょう。遺品整理の料金は、遺品の量や部屋の広さ、作業の難易度、作業人数など、さまざまな要素により変動します。
このため、相場が出しにくく必要以上に高額な請求をされることもあります。料金体系を明確に開示している業者であれば、法外な料金を請求されるリスクは少ないでしょう。
口コミや評判は良いか
利用者の体験談や口コミがあるか、あれば評判は良いか確認しましょう。実際に利用した人の声には良い点・悪い点、さまざまな評価が含まれています。口コミ件数が多く評判も良い業者であれば、ずさんな対応をされることは少ないと考えられます。
遺品整理をプロに依頼するメリット・デメリット
さまざまな負担を軽減できるなど、遺品整理をプロに依頼するメリットは多くあります。一方、遺品の量が少なくご遺族だけで対処できるのであれば、金銭的負担がデメリットになり得るでしょう。以下では、メリット・デメリットについて詳しく説明していきます。
メリット
遺品整理をプロに依頼する大きなメリットは以下の通りです。
- 身体的・精神的負担を軽減できる
- 遺品整理にかかる時間を大幅に削減できる
- 遺品の査定や買い取りも依頼できる
- 不用品の処分、遺品の供養もできる
- 特殊清掃など遺品整理に付随する処理も任せられる
プロに依頼すれば、大量の遺品であっても数日程度で処理が終わることがほとんどです。また、不用品や価値のある物の買い取り、整理後のハウスクリーニング、不動産の処分など、総合的なサポートを受けられる業者もあります。このため、ご遺族の負担の大幅な削減が可能です。
デメリット
遺品整理をプロに依頼すれば、その分の費用が発生します。ご遺族だけで遺品整理ができる程度に整った状態であれば、金銭的負担になるかもしれません。
ただし遺品整理費用は遺品の買取金額と相殺ができるため、費用を抑えた依頼もできます。
遺品整理がつらいなら無理は禁物! 周囲を頼って乗り切ろう
遺品整理は体力的にも精神的にも負担が大きく、つらいと感じることも多い作業です。しかし、相続税の期限があるなど、どうしても進めなければならないときは、無理せず、頼れる人を頼って乗り切ることをおすすめします。
遺品整理の専門会社アールエージェンシーでは、大阪・関西を中心に遺品整理や特殊清掃を行っています。不動産の解体や、自動車の廃車処分まで対応していますので、親族が亡くなった後の処理のトータルサポートが可能です。遺品整理がつらくお困りの方は、お気軽にお問い合わせください。